刑事事件の場合、現金、預金が50万円に満たない資金力のない人は、 国が弁護士費用を負担する国選弁護人という制度があります。
従来は起訴後しか国選弁護人を付けることはできませんでしたが、 現在は、一定の基準はありますが、起訴前でも国選弁護人をつけることが可能です。

被疑者国選弁護人と被告人国選弁護人

起訴前の被疑者段階での国選弁護人を被疑者国選弁護人といいます。
起訴後の被告人段階での国選弁護人を被告人国選弁護人といいます。

被疑者国選弁護人をつけられる対象事件は、
「法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役若しくは禁錮に当たる事件」
となっています。

具体的には、
殺人、強盗致傷、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反、強制わいせつ、 強盗、強姦、児童買春、児童ポルノ、 道路交通法違反(飲酒運転など3年以上の懲役になる可能性のあるもの)、 窃盗、傷害、業務上過失致死、詐欺、恐喝になります。

かなりの罪状で被疑者国選弁護人をつけられるように思われますが、 痴漢や盗撮でも迷惑防止条例違反、相手がけがをしていないような暴行、器物破損などは、 被疑者国選人をつけることはできませんので、注意してください。

私選弁護人

被疑者・被告人が自らの費用で弁護士を選任した場合は、私選弁護人といいます。

刑事事件における国選弁護人と私選弁護人の比率は、
国選弁護人75%、私選弁護人25%という割合です。

地方の弁護士に聞くと、 地方と首都圏の所得格差もあるでしょうが、 地方では刑事事件の私選弁護士人の比率は低くなるようです。

私選弁護人と国選弁護人どっちが刑事事件に強いか

これは基本的に私選弁護人の方が刑事事件に強いといえるでしょう。

まず、痴漢で逮捕された場合を考えても、逮捕直後から弁護活動ができる強みが私選弁護人にはあります。
ただし私選でも弁護士によりますので、注意は必要です。
ですから、委任する前には必ず弁護士と面談し、その弁護士をチェックしてください。

以前、『国選弁護人』という刑事ドラマがありましたが、あれはドラマの話で、 あんなにフットワークの軽い国選弁護人が全てではありません。
逆に、あのような国選弁護人に巡り合えるのはまずないでしょう。

また、そもそも国選弁護はお金のない人のための制度ですから、 お金があるなら私選弁護人を選ぶしかありません。